「甲状腺がん」(甲状腺癌)の手術件数の全国病院ランキングです。2017年の実績ベース。厚生労働省(厚労省)のデータに基づいています。甲状腺癌専門の医師がいる全国の病院が対象です。 1位は東京の伊藤病院。2位は兵庫の隈病院、3位は大分の野口病院となっています(リトリート編集部 大畑亮介)。

手術件数ランキング(全国トップ30)~2017年実績

順位 病院名 手術数
1位 伊藤病院
(東京)
969
2位 隈病院
(兵庫)
900
3位 野口病院
(大分)
538
4位 やました甲状腺病院
(福岡)
501
5位 昭和大学横浜市北部病院
(神奈川)
288
6位 金地病院
(東京)
210
7位 東京医科大学病院
(東京)
205
8位 がん研有明病院
(東京)
153
9位 日本医科大学病院
(東京)
151
10位 大阪警察病院
(大阪)
134
11位 東京女子医科大学病院
(東京)
121
12位 藤田医科大学病院
(愛知)
105
13位 土谷総合病院
(広島)
100
14位 神奈川県立がんセンター
(神奈川)
97
15位 筑波大学病院
(茨城)
91
16位 北里大学病院
(神奈川)
77
17位 名古屋大学病院
(愛知)
76
18位 横浜市立大学市民総合医療センター
(神奈川)
71
19位 伊勢赤十字病院
(三重)
70
京都大学病院
(京都)
70
21位 愛知県がんセンター中央病院
(愛知)
66
天理よろづ相談所病院
(奈良)
66
小池病院
(佐賀)
66
24位 大阪市立大学病院
(大阪)
63
25位 信州大学病院
(長野)
62
関西医科大学病院
(大阪)
62
川崎医科大学病院
(岡山)
62
28位 恵佑会札幌病院
(札幌)
60
近畿大学奈良病院
(奈良)
60
30位 済生会横浜市南部病院
(神奈川)
59

甲状腺疾患

病気・症状

甲状腺は「元気の源」ともいえる甲状腺ホルモンを分泌する臓器。

甲状腺の病気には、甲状腺の「働き」の変化と「形」の変化という、2つの特徴がある。

「働き」の変化によって起こるのは「甲状腺機能充進症」と「甲状腺機能低下症」。

前者の代表が「バセドウ病」で、甲状腺ホルモンの分泌が過多になり、エネルギーがいわば空焚きされたような状態になる。

代謝が活発になり過ぎるため、暑がりになる・汗をかく・手足が震える・動悸がする・じっとしていても走っているように疲れる、などの症状をきたす。

後者の代表は「橋本病」。

甲状腺ホルモンの分泌が減り、全身の代謝が低下するため、寒がりになる・むくむ・無気力になる、などの症状が起こる。

甲状朦の腫れ・しこりなど「形」が変化する病気で問題になるのは腫瘍。

圧倒的に頻度が高いのは良性だが、がんであってもほとんどはおとなしい性質である。

しかし中には「未分化がん」という非常に危険ながんもあるため、注意が必要だ。

検査・治療

検査の主軸は2つ。

1つは採血で、甲状腺ホルモンの分泌状況や、自己免疫の異常を表す抗体価などを見る。

甲状腺の病気は自己免疫疾患の一種だからだ。

もう1つは超音波検査。

甲状腺の形と大きさを見ることで、腫瘍がある場合には良性か悪性かの見当もつく。

悪性と疑われる場合には細胞診を行う。

専門施設であればこれらの検査によって、受診から1時間以内に病気の有無・種類・重症度などの診断ができる。

治療は、バセドウ病では薬・アイソトープ治療・手術の3種類。

薬は苦痛はないが長期にわたる治療が必要な場合がある。

アイソトープ治療は放射線の内照射療法。

放射性ヨードの入ったカプセルを服用するだけだが、6カ月くらいで効果が出始めるうえ苦痛もないため、欧米では第一選択肢とされている。

手術では再燃を防ぐため甲状腺を全摘し、以後はホルモン剤を服用する。

橋本病の治療も、不足している甲状腺ホルモンを薬で補う。

いずれも治療法が確立されており、治療していれば病気を気にすることなく生活できる。

甲状腺がんの治療は早めの手術が基本。予後が非常にいい「乳頭がん」では、切除部分をできるだけ小さくする縮小手術が増えている。

ドクター・病院選びのポイント

診断は専門医へ。地域のかかりつけ医を受診する際には、専門医との医療連携が取れているところを選ぶようにしたい。

<引用文献>
「ドクターズガイド―治せる医師を本気で探す」