加齢と体の傷害

30歳をすぎると退化

人間も動物も生まれてから成長を重ね、加齢とともに大きくなります。しかし、骨と筋肉は、20歳代で発育のピークを迎え、30歳をすぎると徐々に退化していきます。

よく子どもの頃に骨折すると、折れた部分の骨が強くなるといわれますが、これは、傷ついた部分に多くの栄養素が集中するためです。

しかし、成長期を過ぎると、骨がもろくなり、チョッとした弾みで骨が折れてしまい、子供のころのような回復が難しくなります。

筋肉と骨の強さの変化

子供のころは筋肉が優位

筋肉と骨を比較すると、子どもの頃には骨より筋肉のほうが強いです。このため、筋肉が強く引っぱられたり収縮すると、筋肉が付着している骨の部分が引きはがされて、剥離骨折を起こしてしまいます。

高齢になると

しかし、高齢になると、筋肉は骨より弱くなります。このため、筋肉のほうが切れてしまうのです。筋肉が強いか、骨が強いか、どちらが強いかによって起こる傷害が変わるということです。

20代は両方強い

骨と筋肉がともに強いのが、20歳代の頃です。人生の中で20歳代に最も活躍するスポーツ選手が多いのはこのためです。

20歳代の頃には、少々無理なトレーニングにも耐えられますが、30歳をすぎて無理な運動やトレーニングをすると、骨や筋肉が耐えられなくなり、傷害を起こすため、注意が必要です。

骨や筋肉が傷ついたら

骨や筋肉が傷ついたら、どうすればよいのでしょうか。

もと通りにつなぐ

骨、筋肉、靱帯、腱などの体の組織が傷ついて、切れたり折れたりすると、もと通りにつなぐ必要があります。

切れかけたり、折れかけたりしているのであれば、それらが完全に切れたり折れたりしないように、安静にしてもと通りにつながるまで待たなければなりません。

中途半端で放置しない

中途半端に放置しておくと、切れかけたものが完全に切れたり、つながるものまでつながらなくなり、一生完全にもとの状態にもどらなくなったりします。

体の傷害の種類

一般的にみられる体の傷害についてその処置をみることにしましょう。

(1)骨折

骨折とは骨の連続性が断たれたことです。

応急措置

骨折で重要なことは、乱暴な扱いをして単純骨折を複雑骨折にしたり、血管や神経を傷つけないようにします。骨折の疑いがあれば副木を当て、患部を固定して医師にみせます。

(2)脱臼

脱臼とは正常な関節の状態が崩れることです。

応急措置

骨折と同様で固定します。勝手に整復などを試みず、皮下出血があれば冷やして、できるだけ早く医師や専門院で整復してもらいます。

(3)捻挫

捻挫とは、関節を支持している靱帯が傷つくことです。捻挫は靱帯が引き伸ばされただけのものから、断裂しているものまで程度が異なります。

応急措置

腫れや痛みだけで判断することなく、I、C、E、R、S(Ice-冷却、Compression-圧迫、Elevation-高挙、Rest-安静、Support-固定)の処置をして、医師にみせます。

(4)打撲

打撲は、物が当たったり、ぶつかって体に外力を受けることです。外力の強さによって、皮下組織、筋肉、関節、骨まで影響を受けます。

応急措置

症状が骨折や捻挫と似かよっているので、特に痛みや腫れがひどい場合には注意して、I、C、E、R、S(Ice-冷却、Compression-圧迫、Elevation-高挙、Rest-安静、Support-固定)の処置をして医師にみせます。

(5)肉ばなれ

肉ばなれとは、筋肉が引き伸ばされることで、部分的に切れたり、完全に断裂したり、また切れないで縮んでしまうことです。

応急措置

肉ばなれは、筋力の低下や局部の凹みがみられたりします。I、C、E、R、S(Ice-冷却、Compression-圧迫、Elevation-高挙、Rest-安静、Support-固定)の処置をして、医師の診断を受けます。

これらの傷害は、スポーツだけでなく、日常生活の中でもよく起こるものです。傷害を受けると、安静にしたり、手術をしてもとの正常な状態に回復させる必要があるのですが、それが満足に行われずケガの後遺症で悩む人たちが多くいます。

これはリハビリテーションが完了していないことを意味しています。